【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「――っ」
「エメリア様とフレン様、お揃いのデザインのものをご用意させていただきました」

 袖が大きく膨らんだ、横広がりのスカートが特徴的なバロック調ドレス。
 ジャケットや肩掛けもおしゃれなロココ風のローブスタイル。フリルやレースがふんだんについたものからシンプルなものまでよりどりみどりだ。

(うわぁぁぁあ!)

 大人子どもペアで並ぶ可愛らしい服を前に、エメリアは感激のあまり両手を胸の前で組んだ。

「……ちょっと、着て、みても?」
「もちろんでございます」

 興奮を押し殺しながら聞けば、仕立て屋は嬉しそうに頷いた。

 手伝ってもらい、サンプルを着させてもらう。いつもゆるくまとめている髪も整えて、フレンとお揃いの銀の髪飾りをつけた。

「――お二人の並んだお姿、想像以上でございます……! こ、このような場に居合わせることができるとは……新作の構想が捗ります!」

 仕立て屋は感極まったように叫ぶ。
 フレンはくるくる回ってパニエのついたスカートを翻し、嬉しそうにエメリアを見上げた。

「おかあさま、ほかのもいっしょに着てみたいです!」
「そうね、ええ……そうしましょうか!」

 せっかくなのでその後も親子二人で着替えを楽しむ。
 どれもとても素敵だ。何よりフレンの嬉しそうな顔を見ると先ほどの決意が揺らぐ。
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