【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
(必要のない贅沢はもってのほかだけど、仕立て屋の仕事に敬意を表すのも王妃の仕事のうち……!)
そう自分に言い聞かせて、エメリアは顔を上げた。
「では、三着ほど……」
「あ、そうでした」
そこで仕立て屋ががごとりと男性用のトルソーを置いた。
エメリアたちが今着ているものと同じ生地とデザインの紳士用だ。
「陛下が、自分のものも用意するようおっしゃっていまして、このように三人並ぶとまさに一枚の絵になるようで……」
仕立て屋の口上を聞きながら、エメリアとフレンはそっと顔を見合わせた。
「やっぱり私のものはいいです。フレンの服だけお願いできます?」
「……フレンもいいです」
「ええっなぜ!」
途端にテンションをだだ下げたエメリアたちに仕立て屋が目を見開く。
どんな顔をして、視察先でギルフォードは親子三人お揃いを着るつもりだったのだろう。
本当に、まったく人が変わってしまったようだ。