【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「――陛下!」
後ろからエメリアの悲鳴が聞こえた。
途中で軌道を変えた杖がギルフォードの利き腕を打ちつける。じんとした痺れがくるが、こんなもの、怪我にも入らない。
「も……申し訳ございません! 陛下にこのような無礼をはたらくつもりでは……っ」
いつも笑っていて腹の中を見せない公爵が、真っ青になって杖を投げ出す。廊下に手をついて平頭した。
打たれた腕を確かめるエメリアを制して、ギルフォードは公爵に向き直った。
「俺にはしないが、皇妃には『教育』するつもりだと?」
「そ、それは」
「エヴァン卿にしては珍しく詰めが甘いな。こんなところで立ち話とは」
「っ」
平頭したままの公爵が肩を震わせた。
「わ、わたくしとしましては、立場ある娘がまた逃げ出して陛下にご迷惑をかけないようにとの配慮でして……」
その言葉は本質からずれている。
そもそも彼はすでにエメリアを公爵家の系譜から外し、それを国としても受理した。
「それは関係のない貴公が気にすることではない」
「……」
公爵に負けず青ざめたエメリアを振り返る。その細い手を取った。
「怪我は」
問いかけに彼女はふるふると首を振った。
確かにどこも怪我はなさそうだと判断して、ギルフォードは冷たく公爵を見下ろした。
後ろからエメリアの悲鳴が聞こえた。
途中で軌道を変えた杖がギルフォードの利き腕を打ちつける。じんとした痺れがくるが、こんなもの、怪我にも入らない。
「も……申し訳ございません! 陛下にこのような無礼をはたらくつもりでは……っ」
いつも笑っていて腹の中を見せない公爵が、真っ青になって杖を投げ出す。廊下に手をついて平頭した。
打たれた腕を確かめるエメリアを制して、ギルフォードは公爵に向き直った。
「俺にはしないが、皇妃には『教育』するつもりだと?」
「そ、それは」
「エヴァン卿にしては珍しく詰めが甘いな。こんなところで立ち話とは」
「っ」
平頭したままの公爵が肩を震わせた。
「わ、わたくしとしましては、立場ある娘がまた逃げ出して陛下にご迷惑をかけないようにとの配慮でして……」
その言葉は本質からずれている。
そもそも彼はすでにエメリアを公爵家の系譜から外し、それを国としても受理した。
「それは関係のない貴公が気にすることではない」
「……」
公爵に負けず青ざめたエメリアを振り返る。その細い手を取った。
「怪我は」
問いかけに彼女はふるふると首を振った。
確かにどこも怪我はなさそうだと判断して、ギルフォードは冷たく公爵を見下ろした。