【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 視察は何事もなく進んでいった。
 ゆく先々で歓迎を受け、ギルフォードは皆にフレンを紹介していく。それをエメリアは傍で見守った。

 その土地の建造物や施設を見たり、名所を案内してもらったり、騎士の訓練を見たりであっという間に時間は過ぎていった。



 そして行程も半ばを過ぎた頃のこと。
 その日、エメリアは有力者の夫人が開いたお茶会に出席していた。

「皇妃様とお近づきになれて光栄でございます」
「こちらこそ、顔の広いオーエン夫人とお話しできて嬉しいわ」

 お茶会に来ているのは有力貴族の令嬢や夫人、女性学者などさまざま。
 ホストのオーエン夫人はこのような場を定期的に開いて、女性の交流を推進している方だ。
 彼女に紹介してもらい、花の咲く庭園で出席者たちと挨拶を交わす。

 和やかなお茶会の中、オーエン夫人が息を吐いた。

「皇妃殿下は、本当に陛下に愛されていますわねぇ」
「そ、そうかしら」
「ええ。優しくエスコートされている二人のお姿など、皆が見惚れておりますのよ」
「羨ましいですわぁ」

 他の出席者たちも頷いた。
 視察のことは、ゆく先々で新聞などに面白おかしく取り立てられている。エメリアは曖昧に微笑んだ。

「またフレン様がお可愛いらしくて」
「そうなんです!」


 そんな話をしながら、エメリアは油断なく参加者たちの様子を見ていた。
< 74 / 121 >

この作品をシェア

pagetop