【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「……メレディス、さん?」
「王妃様もご存じなのですか?」
「ええ。……彼女にはどこに行けば会えるの?」

 問いかけに、令嬢たちが無邪気に言葉を交わした。

「大通りの『ガノーナ』というお店の前で辻占をされています」
「私たちが行った時には会えなかったのよね」
「いつ現れるのかわからないところも、面白いですね。しかも占いは百発百中で」

 話を聞きながら、エメリアの心臓は大きく脈打っていた。

(この街にメレディスがいるかもしれない)

 逸る気持ちを押さえてお茶会の時間を過ごした。
 そして挨拶を終えてオーエン夫人の庭を出た後、エメリアはこっそり裏口から出た。

 まずは自分の目で確かめなくてはいけない。
 貴族の令嬢が足しげく通える場所だから、中心部から遠くはないだろう。

 そして道行く人に『ガノーナ』というお店の名を尋ねて、ようやくその場所にたどり着いた。

 店の前には人だかりができていた。
 頭からすっぽり被ったマントを握りしめて、エメリアは間を抜けて前のほうに出る。

「見えますわ」

 黒い水晶に手をかざしている占い師は、黒いヴェールで口元を覆っていた。
 髪は漆黒でその目は血のような赤。メレディスと同じだ。

 彼女は前に座る客に囁きかけた。

「……あなたの落し物は、十二番通り五番地の植木の下にあります」
「そ、そうですか、ありがとうございます!」

 うっとりするような声の持ち主だ。
 ファンも多いようで、占い結果について、感心したような声が聞こえてくる。

「では次……そこのあなた」
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