【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「私のことを知っているの?」
「もちろん。この国の皇妃であり妖精の愛し子の母、そして世界の流れに抗う源流ですもの。わたくし、ずっと見てきましたの」

 そしてメレディスは立ち上がった。
 エメリアよりも背が高い彼女の手のひらに、黒い水晶玉が現れる。
 その靄のかかる表面に、強張った顔のエメリアが映っていた。

「さて本題に入りましょう。本来であれば謎の占い師ポジションでいくつもりでしたが、そうも言っていられなくなりました」

 そう言って、メレディスは水晶越しにエメリアを見た。

「わたくしを、おそばに置いてくださいませ」
「……え」
「これでも使えますわよ。メイドから雑用、靴舐めまでなんでもさせていただきます」
「それは結構です」
「はぁ、冷たいエメリアも尊い」

(何がどうなっているの)

 くらくらする頭で考える。
 まず思ったのは、油断させておいてエメリアの近くにきて、フレンに何かするつもりなのではということ。
 もしくは、ギルフォードの陥落が目的なのか。
 どちらにせよ、容易に彼女を引き入れるのは危険すぎる。


 警戒するエメリアを見て、メレディスは小首を傾げた。

「信用されないのも当然ですよね、エメリアは何故か私の正体も知っているようですし。では……条件を出しましょう」
「条件?」
「わたくしをそばに置いてくださるなら、貴女の願いを何でもひとつだけ叶えます」
「――」

 妖精は、嘘をつけない。それが悪い妖精でもだ。
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