【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 だからこの取引は叶えられる。

「…………わかったわ」

 答えると、メレディスはぱっと表情を明るくした。

 彼女の居場所はなんとしても掴んでおきたかった。
 そばに置く代わりに願いを叶えてくれるなら、渡りに船、と思うことにする。

「なんでも、願ってくださいまし!」

 ひとつだけの願い事。
 少し考えて、エメリアは言った。

「……私の大事な人たちに、魅了の魔法は使わないで」

 メレディスが目をぱちくりして動きを止める。

「それだけ?」
「ええ」
「……もっとこう、地位や権力やお金とかでもいいんですよ?」
「一応、最高水準にいますので……」

 腐っても皇妃である。

「嘘をつかないでとか裏切らないでとか」
「定義が曖昧すぎて、なんとでも言い逃れできそうですし。そういう昔話、たくさんあるんです」

 ふう、とエメリアは息を吐いた。
 彼女は、エメリアにとっていわばライバルのような立場だ。だけど。

(メレディス自身の魅力で、皆を虜にするなら私に何か言う権利はないしね)


 納得いかない顔をしていたが、しばらくしてメレディスは胸元に手を置いた。

「畏まりました。ではその願いを叶える代わりに、わたくし、そばにいて全力でエメリアを守ります」
「これからよろしくお願いし……そうだ、その予言の話ですけど……」

 そこで、パリンと上空から音がした。

「おかあさま!」
「……フレン!?」

 上を見ると、妖精を伴ったフレンが空間に飛び込んできた。
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