【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「少しいいか」

 二人を見送った後、ギルフォードがエメリアをバルコニーへと誘った。

(うう)

 勝手に抜け出したお小言を言われるのを悟って、エメリアはすごすご後ろにつく。

 周りを森で囲まれた迎賓館のバルコニーは静かだ。
 あれだけ賑やかだった街の喧騒もここまでは届かない。

 とはいえ、あちこちに見張りの騎士の姿はある。
 フレンが、同行している彼らにメレディスを紹介しているのが見えた。

 心地よい風に吹かれながらその様子を微笑ましく眺めていると……しばらくして、ギルフォードが口を開いた。

「……今度から、どこかに出かけるときは必ず言ってくれ」

 そう言うギルフォードは、いつものような皇帝然とした雰囲気ではなく、捨てられた子犬のような顔をしている。

 いや、捨てられかけ、というか。

「……もしかしなくとも、また出て行ったかと思いました、よね」
「誘拐されたかとも思ったぞ」

 ギルフォードが顔を背ける。後者ももちろん考えただろうが、図星らしい。

(意外と、顔に出るのよね)
< 84 / 121 >

この作品をシェア

pagetop