獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢
 殺害未遂の罪で国外追放、挙げ句にその場に居た婚約者から婚約破棄をされ、家の恥として、私はきっと、家族にも捨てられてしまったのだわ……。

「もう一度聞くが、どうして、オーキッド公爵令息と婚約破棄になった? 貴族が犯した殺人未遂ならば、取り調べのために長い期間が掛かるだろう。それも、親にも会えぬ国外追放など聞いたことがない」

 立ったままのヴィルフリートは、腕を組んで不機嫌そうだ。理解不能な事態を前に困惑しているのだろう。

 そうよね。誰しもそう思うはずだ。けれど、仕方ない。

 主人公(ヒロイン)は物語の中でただ唯一の『特別』なのだから。

「……私が聖なる力を持つ女性を虐めて……それに、毒薬で殺そうと画策したと……それは、許し難いことであると」

 言いにくい……けれど、これが起こったことすべてなのだ。

 ヴィルフリートは目を見開き、口に手を当てた。

「……やったのか?」

 疑わしい目線を向けられて、私は慌てて首を振った。

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