桃色のアリス ~暗黒の魔女とアリスの想い~
時計の記憶で聞いた、十三代目黒ウサギの言葉と先程の黒ウサギの言葉が重なる。
『アリスは白ウサギだけ追いかけていればいい』
あの言葉が、耳から離れない。どうしようもない不安を感じる。あの言葉の裏には、何かある気がした。知ることの出来なかった、黒ウサギの考えが。あの瞳に映った感情さえも。
「本当に大丈夫かい?」
「う、ん。もう大丈夫! ありがとう」
忘れなきゃ。チェシャ猫に心配かけちゃう。
「でも、下がキノコでよかったね」
「キノコ?」
「ほら、見てごらん」
「え、これって」
辺りを見渡すと、足元はキノコに覆われていた。
「僕らはキノコの上に乗っているんだよ」
足踏みをすると、フワフワと足が沈む。歩きにくいのも当然だった。大きさは普通のキノコの二百倍はあるけれど、素材は弾力性のあるキノコそのものだった。
「崖の下にキノコがあって良かった。キノコに感謝、だね?」
「ふふっ。そうだね。私、生まれて初めてキノコに感謝したよ」
城にいたならあり得ない経験に、可笑しくって堪らなくなった。チェシャ猫を見ると同じように笑っている。もう恐怖は吹き飛んでしまった。改めて、チェシャ猫が傍に居てくれることが、どれだけ私の助けになっているかを実感する。
「アリス。あそこ」
チェシャ猫が指さした方向を見ると、見た事のある黒い大きな穴がある。あれは、ウサギの穴だ。
「次の穴に行こう、アリス」
「うん」
逃げたウサギを追いかけなきゃ。
銃声が耳の中でもう一度鳴った気がして、踏み出そうとした足が止まる。まだ足の震えはわずかに残っていたけれど、気づかないふりをしてくれたチェシャ猫に手をひかれ、穴へ飛び込んだ。
『アリスは白ウサギだけ追いかけていればいい』
あの言葉が、耳から離れない。どうしようもない不安を感じる。あの言葉の裏には、何かある気がした。知ることの出来なかった、黒ウサギの考えが。あの瞳に映った感情さえも。
「本当に大丈夫かい?」
「う、ん。もう大丈夫! ありがとう」
忘れなきゃ。チェシャ猫に心配かけちゃう。
「でも、下がキノコでよかったね」
「キノコ?」
「ほら、見てごらん」
「え、これって」
辺りを見渡すと、足元はキノコに覆われていた。
「僕らはキノコの上に乗っているんだよ」
足踏みをすると、フワフワと足が沈む。歩きにくいのも当然だった。大きさは普通のキノコの二百倍はあるけれど、素材は弾力性のあるキノコそのものだった。
「崖の下にキノコがあって良かった。キノコに感謝、だね?」
「ふふっ。そうだね。私、生まれて初めてキノコに感謝したよ」
城にいたならあり得ない経験に、可笑しくって堪らなくなった。チェシャ猫を見ると同じように笑っている。もう恐怖は吹き飛んでしまった。改めて、チェシャ猫が傍に居てくれることが、どれだけ私の助けになっているかを実感する。
「アリス。あそこ」
チェシャ猫が指さした方向を見ると、見た事のある黒い大きな穴がある。あれは、ウサギの穴だ。
「次の穴に行こう、アリス」
「うん」
逃げたウサギを追いかけなきゃ。
銃声が耳の中でもう一度鳴った気がして、踏み出そうとした足が止まる。まだ足の震えはわずかに残っていたけれど、気づかないふりをしてくれたチェシャ猫に手をひかれ、穴へ飛び込んだ。