桃色のアリス ~暗黒の魔女とアリスの想い~
次々と綴られていく文字や絵に魅了されていたのか、私は黙って本を見つめていたようだ。一度深呼吸をして、再び視線を文字へと戻す。出だしは昔々、と物語は始まって、短く、長く続く物語は幕を開けた。
昔々、白ウサギを追って不思議の国にやってきた金髪の少女がいました。
少女の名前はアリス。
アリスは白ウサギを追いかける中で、様々な不思議の国の住人に出会います。
コーカーレースを楽しむドードー。毎日が誕生日のお茶会の主催者、帽子屋、三月ウサギに眠りネズミ。処刑を命じるハートの女王。消えては現れるチェシャ猫。お節介が嫌いな公爵婦人。
いつしか時間が経つにつれアリスと不思議の国の住人は仲良くなっていきました。
アリスは、いつか帰る日が来ると分かっていたので、その時間を楽しみました。
住人達は皆アリスが大好きでした。
そしてアリスも住人達が大好きでした。
穏やかに時が過ぎていったある日、不思議の国に異変が起きます。
暗黒の魔女と謳われる黒い魔女がやってきたのです。
暗黒の魔女はとても恐ろしい魔女です。
出会った者を狂気で狂わし、無意味な殺戮を繰り返します。
アリス達は互いに協力し、狂気に呑まれないようにしました。
しかし不思議の国は暗黒の魔女の狂気によってどんどん壊れていきます。
美しかった空は暗黒に染まり、やがては住人の住みかも崩れ、ついには発狂する者も現れました。
そこでアリス達は暗黒の魔女を倒そうと立ち向かいました。
しかし暗黒の魔女は色の魔女の中でも最も恐ろしく、強い魔女です。
アリス達は魔女と激しい戦闘を繰り返しましたが、魔女には勝てませんでした。
暗黒の魔女は強すぎたのです。
不思議の国が崩れる中、魔女はきまぐれにアリス達にそれぞれ呪いをかけました。
幸か不幸か暗黒の魔女の呪いは、当時の不思議の国の崩壊を止める唯一の希望になりえました。
そしてそれはアリス達を苦しめ、悲しませるための呪いでした。
アリスにかけられたのは白ウサギか黒ウサギ、大切な二人を天秤にかける呪いでした。
そして共に戦った住人達も残酷な呪いをかけられました。
呪いをかけた後、暗黒の魔女はいつの間にか姿を消しましたが、世界の崩壊は止まりません。
アリスは世界の為に、ウサギの時計を止めました。
世界の崩壊は止まり、不思議の国も元に戻りましたが、アリス達は悲劇の始まりの合図だと感じました。
そして彼等が感じた通り、呪いは次の代にも受け継がれていったのです。
一通り読み終えて顔を上げる。
「これが、惨劇の始まり」
アリスはやっぱり魔女と戦っていた。あの黒い星が私に見せた映像は夢じゃなかった。
「一代目アリスは強いね。魔女に立ち向かおうとする意思だけでなく、彼女の心も」
思い出すだけで気が狂いそうな狂気があるにも関わらず、彼女は魔女に戦いを挑んだのだ。あの狂気に立ち向かうのに、どれだけの勇気が必要だったのだろう。
私にはどれだけの勇気が必要?
「アリス」
白ウサギの声に頭を上げると、彼はこちらを真剣に見つめていた。
「聞いてください。僕等は個々を持ち、他にはない存在です。けれども持つ魂には先代の魂の欠片、心の欠片を受け継いでいるんです。それぞれの、役割と共に」
「心の、欠片」
「想いも記憶も、少しだけれど僕等の心に、胸に刻みこまれています」
想いも記憶も。この心に。その言葉で、今まで感じてきたモノの全てが繋がった。初めて会った白ウサギや帽子屋達に懐かしさを感じたのもきっと刻まれた想いがあったから。
昔々、白ウサギを追って不思議の国にやってきた金髪の少女がいました。
少女の名前はアリス。
アリスは白ウサギを追いかける中で、様々な不思議の国の住人に出会います。
コーカーレースを楽しむドードー。毎日が誕生日のお茶会の主催者、帽子屋、三月ウサギに眠りネズミ。処刑を命じるハートの女王。消えては現れるチェシャ猫。お節介が嫌いな公爵婦人。
いつしか時間が経つにつれアリスと不思議の国の住人は仲良くなっていきました。
アリスは、いつか帰る日が来ると分かっていたので、その時間を楽しみました。
住人達は皆アリスが大好きでした。
そしてアリスも住人達が大好きでした。
穏やかに時が過ぎていったある日、不思議の国に異変が起きます。
暗黒の魔女と謳われる黒い魔女がやってきたのです。
暗黒の魔女はとても恐ろしい魔女です。
出会った者を狂気で狂わし、無意味な殺戮を繰り返します。
アリス達は互いに協力し、狂気に呑まれないようにしました。
しかし不思議の国は暗黒の魔女の狂気によってどんどん壊れていきます。
美しかった空は暗黒に染まり、やがては住人の住みかも崩れ、ついには発狂する者も現れました。
そこでアリス達は暗黒の魔女を倒そうと立ち向かいました。
しかし暗黒の魔女は色の魔女の中でも最も恐ろしく、強い魔女です。
アリス達は魔女と激しい戦闘を繰り返しましたが、魔女には勝てませんでした。
暗黒の魔女は強すぎたのです。
不思議の国が崩れる中、魔女はきまぐれにアリス達にそれぞれ呪いをかけました。
幸か不幸か暗黒の魔女の呪いは、当時の不思議の国の崩壊を止める唯一の希望になりえました。
そしてそれはアリス達を苦しめ、悲しませるための呪いでした。
アリスにかけられたのは白ウサギか黒ウサギ、大切な二人を天秤にかける呪いでした。
そして共に戦った住人達も残酷な呪いをかけられました。
呪いをかけた後、暗黒の魔女はいつの間にか姿を消しましたが、世界の崩壊は止まりません。
アリスは世界の為に、ウサギの時計を止めました。
世界の崩壊は止まり、不思議の国も元に戻りましたが、アリス達は悲劇の始まりの合図だと感じました。
そして彼等が感じた通り、呪いは次の代にも受け継がれていったのです。
一通り読み終えて顔を上げる。
「これが、惨劇の始まり」
アリスはやっぱり魔女と戦っていた。あの黒い星が私に見せた映像は夢じゃなかった。
「一代目アリスは強いね。魔女に立ち向かおうとする意思だけでなく、彼女の心も」
思い出すだけで気が狂いそうな狂気があるにも関わらず、彼女は魔女に戦いを挑んだのだ。あの狂気に立ち向かうのに、どれだけの勇気が必要だったのだろう。
私にはどれだけの勇気が必要?
「アリス」
白ウサギの声に頭を上げると、彼はこちらを真剣に見つめていた。
「聞いてください。僕等は個々を持ち、他にはない存在です。けれども持つ魂には先代の魂の欠片、心の欠片を受け継いでいるんです。それぞれの、役割と共に」
「心の、欠片」
「想いも記憶も、少しだけれど僕等の心に、胸に刻みこまれています」
想いも記憶も。この心に。その言葉で、今まで感じてきたモノの全てが繋がった。初めて会った白ウサギや帽子屋達に懐かしさを感じたのもきっと刻まれた想いがあったから。