桃色のアリス ~暗黒の魔女とアリスの想い~
「懐かしさも愛しさも、受け継がれてきたモノ……」
胸に手を当てて本が見せてくれた光景を思い出す。あの幸せを生きた、あの狂気の中を生きたアリスの想いが、この胸に刻まれている。
「この胸に、受け継がれている」
きっと、一代目アリスだけじゃなくて、もしかしたら今まで選ばれたアリスの心も受け継いでいるかもしれないんだ。
帽子屋に首を絞められた時から、無意識にわかっていた気がする。
私はあの時、帽子屋のその気持ちは、貴方のものじゃないと、そう口に出した。
帽子屋が私に向けた感情は、彼のモノではなかったから。
私達も個々に感情は持っている。その気持ちを見失ったら、自分じゃなくなってしまう。だからこそ、帽子屋には今の帽子屋の気持ちに気付いてほしかった。
けれど、私や白ウサギや、受け継がれた心を大切にしたからこそ、あんな風に私を殺そうとしたのかもしれない。私が歴代アリスの心を受け継いで、受け止めようとするなら。
私も、帽子屋の気持ちに正面から向き合わなきゃいけない。
「貴方は一代目アリスに似ています」
「え?」
先程まで真剣な表情だった白ウサギが、優しく微笑む。
「僕から見たら、貴女は一代目アリスの好奇心と強さを受け継いでいるようですね」
「私が、一代目アリスの強さを? そんなはずない。だって、私は暗黒の魔女に会った時、怯えていたんだよ?」
私は魔女の目を見ただけで狂気に呑まれてしまった。
「だから、私は一代目アリスのような、強さを受け継いでなんかいないよ」
「だからですよ!」
白ウサギが勢い良く私の肩を掴み、声のトーンを上げる。
び、びっくりした!
「貴女は魔女の恐ろしさを知っても尚、魔女と戦うと決めました。相手の恐ろしさを知らずに戦うのと、知っても尚戦うのでは、勇気や覚悟が違うと思います。必ずしも前者の覚悟が足りないというわけではないのですが、僕だったら、きっと震えているだけかもしれないです。だから貴女は十分強いですよ!」
白ウサギが真っ直ぐな瞳でこちらを見つめる。
「白ウサギの言う通りアリスは強いよ」
チェシャ猫も頷いてくれて、また泣きそうになる。弱くて、怖がりで、泣き虫な私でも勇気をだせば頑張れるんだって、そう思える。
「ありがとう」
「どういたしまして。僕らのアリス」
皆がそう言ってくれるなら、この先魔女に会っても、私は立っていられる。
「クス。アリスは表情がコロコロ変わるよね」
「私ってそんなに思っている事が顔に出ているのかな?」
「顔に出ているよ」
「出ていますね」
「出ているよー!」
「えええっ!」
「本当にアリスは分かりやすいですね」
笑いを含みながら話す白ウサギ。それにつられてか、チェシャ猫もビルも笑っている。
「お姉ちゃん顔に出しすぎー!」
「チェシャ猫っ! 私そんなに顔に出ているかな? 分かりやすい?」
幼いビルにまでここまで言われるなんて! 恥ずかしいような複雑な気もするような変な感じ。
「アリスは分かりやすいよ」
チェシャ猫にはっきり言われると、自分は単純なのだと認めるしかない。これじゃあおっちょこちょいを自覚してない白ウサギの事を言えない。
「だけどね、アリス僕はそんな可愛いアリスの事が好きだよ」
爆弾のような一言をさらりと言ってチェシャ猫はにこりと笑う。
「あー! チェシャ猫! アリスをからかわないで下さいよ!」
「からかってなんかないよ」
チェシャ猫の言葉は、素直な言葉な気がするけど今回は何だか楽しんでいるような、そうでないような。
「アリス。顔赤いですよ? 大丈夫ですか?」
胸に手を当てて本が見せてくれた光景を思い出す。あの幸せを生きた、あの狂気の中を生きたアリスの想いが、この胸に刻まれている。
「この胸に、受け継がれている」
きっと、一代目アリスだけじゃなくて、もしかしたら今まで選ばれたアリスの心も受け継いでいるかもしれないんだ。
帽子屋に首を絞められた時から、無意識にわかっていた気がする。
私はあの時、帽子屋のその気持ちは、貴方のものじゃないと、そう口に出した。
帽子屋が私に向けた感情は、彼のモノではなかったから。
私達も個々に感情は持っている。その気持ちを見失ったら、自分じゃなくなってしまう。だからこそ、帽子屋には今の帽子屋の気持ちに気付いてほしかった。
けれど、私や白ウサギや、受け継がれた心を大切にしたからこそ、あんな風に私を殺そうとしたのかもしれない。私が歴代アリスの心を受け継いで、受け止めようとするなら。
私も、帽子屋の気持ちに正面から向き合わなきゃいけない。
「貴方は一代目アリスに似ています」
「え?」
先程まで真剣な表情だった白ウサギが、優しく微笑む。
「僕から見たら、貴女は一代目アリスの好奇心と強さを受け継いでいるようですね」
「私が、一代目アリスの強さを? そんなはずない。だって、私は暗黒の魔女に会った時、怯えていたんだよ?」
私は魔女の目を見ただけで狂気に呑まれてしまった。
「だから、私は一代目アリスのような、強さを受け継いでなんかいないよ」
「だからですよ!」
白ウサギが勢い良く私の肩を掴み、声のトーンを上げる。
び、びっくりした!
「貴女は魔女の恐ろしさを知っても尚、魔女と戦うと決めました。相手の恐ろしさを知らずに戦うのと、知っても尚戦うのでは、勇気や覚悟が違うと思います。必ずしも前者の覚悟が足りないというわけではないのですが、僕だったら、きっと震えているだけかもしれないです。だから貴女は十分強いですよ!」
白ウサギが真っ直ぐな瞳でこちらを見つめる。
「白ウサギの言う通りアリスは強いよ」
チェシャ猫も頷いてくれて、また泣きそうになる。弱くて、怖がりで、泣き虫な私でも勇気をだせば頑張れるんだって、そう思える。
「ありがとう」
「どういたしまして。僕らのアリス」
皆がそう言ってくれるなら、この先魔女に会っても、私は立っていられる。
「クス。アリスは表情がコロコロ変わるよね」
「私ってそんなに思っている事が顔に出ているのかな?」
「顔に出ているよ」
「出ていますね」
「出ているよー!」
「えええっ!」
「本当にアリスは分かりやすいですね」
笑いを含みながら話す白ウサギ。それにつられてか、チェシャ猫もビルも笑っている。
「お姉ちゃん顔に出しすぎー!」
「チェシャ猫っ! 私そんなに顔に出ているかな? 分かりやすい?」
幼いビルにまでここまで言われるなんて! 恥ずかしいような複雑な気もするような変な感じ。
「アリスは分かりやすいよ」
チェシャ猫にはっきり言われると、自分は単純なのだと認めるしかない。これじゃあおっちょこちょいを自覚してない白ウサギの事を言えない。
「だけどね、アリス僕はそんな可愛いアリスの事が好きだよ」
爆弾のような一言をさらりと言ってチェシャ猫はにこりと笑う。
「あー! チェシャ猫! アリスをからかわないで下さいよ!」
「からかってなんかないよ」
チェシャ猫の言葉は、素直な言葉な気がするけど今回は何だか楽しんでいるような、そうでないような。
「アリス。顔赤いですよ? 大丈夫ですか?」