桃色のアリス ~暗黒の魔女とアリスの想い~
もしかして私、何か気に触る事をしたのだろうか。怖がっているのが伝わったとか、やっぱり呼び方が駄目だったとか、幾通りも考えられてしまう。ここは遠慮して海ガメさんと呼ぶべきだったかな。海ガメ様、と呼んだ方が彼の威圧感を回避するのに相応しいかもしれない。
でも、何か違和感がある。呼び方の違和感じゃない。もっと違う違和感。そう、まるで違う人の名前を呼んでいるような、彼の名前ではないような違和感。
海ガメ、海ガメ。彼は海ガメ?
「海ガメって本当の名前はもがっ!」
不意に口に当てられた海ガメの手。
海ガメを見ると相変わらずニッコリと黒い笑顔を浮かべている。威圧感が更に増していて、背中を冷や汗が流れた。
「困りますねー。フフ、妙な事は口にしない方がいいですよー?」
世に聞く怖い人の言い方に、頭を上下に動かして理解した事を伝える。私の思いが伝わったのか、海ガメの手が離れていった。海ガメは口をパクパクさせる私を満足げに見つめる。細い瞳がうっすらと金色を覗かせた気がして思わず身構えた。
「やっぱりアリスには分かるんですねぇ」
「え? 分かるって、何?」
「あぁ。気付いてなかったんですか? まぁそれならそれでー」
「アリス、海ガメ、そろそろ店へ向かいましょう」
海ガメの呟きを余所に、白ウサギがひょっこりと出てくる。
「そうですね。では向かいましょうかぁ。こちらとしてもその方が都合いいですしー」
「お姉ちゃん行こー!」
「あ、うん!」
ビルに手を引っ張られて後に続く。
分かるって何の事だろう。確かに違和感があったけど、それがなんなのかは理解出来ていない。
海ガメは何かを隠している?
ううん。それだけじゃない。もしかして海ガメは何かを隠し、嘘をついている?
先を歩く海ガメの背中を見つめる。私の視線には気付かずゆっくりと歩いていく。私はビルに手をひかれ、彼等の後ろを歩く。
さっきの話、話してくれなさそうだな。それに、聞かない方が良さそう。秘密事のようだし、何より今も感じている違和感の正体が掴めない。もしかしたら呪いに関係しているのかと思うと、無遠慮に聞くわけにはいかない気がした。
「アリス、考え事かい? あまり考え込むと、転んでしまうよ?」
「ふふっ! エスコートはにゃんこより上手いよー? ねー! お姉ちゃん?」
「うん。でも、チェシャ猫も上手いんだよ!」
他愛のない話を続けながら歩くと、私の身長と同じくらいの扉がついた岩がある。灰色の岩に不自然にある、カラフルな扉。その存在を更に主張するように、川底にささった看板が店の名を教えてくれる。
「海ガメスープ?」
看板に大きくに書かれているのは『海ガメスープ』の文字。
「はいー。僕達、白ウサギをオーナーとしてお店を経営しているんですぅ。ダメコックが作るスープでも美味しいですよー? 是非飲んでいって下さいねー」
「ダメコックが、って、海ガメスープってことは海ガメが作るんじゃないの?」
「作りませんよー。面倒くさいです。フフフ。アリスは僕が作ったスープ、飲みたいんですかー? 飲みたいなら特別に作ってあげますよ」
「え、遠慮します!」
絶対スープに何か仕込む気だ!
黒い笑顔が企みを語っている。身の危険を感じる。
「さぁ、ようこそ! 白ウサギの家へ!」
でも、何か違和感がある。呼び方の違和感じゃない。もっと違う違和感。そう、まるで違う人の名前を呼んでいるような、彼の名前ではないような違和感。
海ガメ、海ガメ。彼は海ガメ?
「海ガメって本当の名前はもがっ!」
不意に口に当てられた海ガメの手。
海ガメを見ると相変わらずニッコリと黒い笑顔を浮かべている。威圧感が更に増していて、背中を冷や汗が流れた。
「困りますねー。フフ、妙な事は口にしない方がいいですよー?」
世に聞く怖い人の言い方に、頭を上下に動かして理解した事を伝える。私の思いが伝わったのか、海ガメの手が離れていった。海ガメは口をパクパクさせる私を満足げに見つめる。細い瞳がうっすらと金色を覗かせた気がして思わず身構えた。
「やっぱりアリスには分かるんですねぇ」
「え? 分かるって、何?」
「あぁ。気付いてなかったんですか? まぁそれならそれでー」
「アリス、海ガメ、そろそろ店へ向かいましょう」
海ガメの呟きを余所に、白ウサギがひょっこりと出てくる。
「そうですね。では向かいましょうかぁ。こちらとしてもその方が都合いいですしー」
「お姉ちゃん行こー!」
「あ、うん!」
ビルに手を引っ張られて後に続く。
分かるって何の事だろう。確かに違和感があったけど、それがなんなのかは理解出来ていない。
海ガメは何かを隠している?
ううん。それだけじゃない。もしかして海ガメは何かを隠し、嘘をついている?
先を歩く海ガメの背中を見つめる。私の視線には気付かずゆっくりと歩いていく。私はビルに手をひかれ、彼等の後ろを歩く。
さっきの話、話してくれなさそうだな。それに、聞かない方が良さそう。秘密事のようだし、何より今も感じている違和感の正体が掴めない。もしかしたら呪いに関係しているのかと思うと、無遠慮に聞くわけにはいかない気がした。
「アリス、考え事かい? あまり考え込むと、転んでしまうよ?」
「ふふっ! エスコートはにゃんこより上手いよー? ねー! お姉ちゃん?」
「うん。でも、チェシャ猫も上手いんだよ!」
他愛のない話を続けながら歩くと、私の身長と同じくらいの扉がついた岩がある。灰色の岩に不自然にある、カラフルな扉。その存在を更に主張するように、川底にささった看板が店の名を教えてくれる。
「海ガメスープ?」
看板に大きくに書かれているのは『海ガメスープ』の文字。
「はいー。僕達、白ウサギをオーナーとしてお店を経営しているんですぅ。ダメコックが作るスープでも美味しいですよー? 是非飲んでいって下さいねー」
「ダメコックが、って、海ガメスープってことは海ガメが作るんじゃないの?」
「作りませんよー。面倒くさいです。フフフ。アリスは僕が作ったスープ、飲みたいんですかー? 飲みたいなら特別に作ってあげますよ」
「え、遠慮します!」
絶対スープに何か仕込む気だ!
黒い笑顔が企みを語っている。身の危険を感じる。
「さぁ、ようこそ! 白ウサギの家へ!」