桃色のアリス ~暗黒の魔女とアリスの想い~
迷いの森で魔物に出会った時はチェシャ猫が魔物を倒してくれた。だけどおっちょこちょいな白ウサギや幼いビル、それに女の子のメアリーは危険だ。
「どけってば。俺達が行かなきゃ誰が此所を守るんだよ」
グリフォンは私を押し退けドアを開き、外へと出ていく。
「心配の必要ないですよー。グリフォンは鷲の翼とライオンの足をもっているんですよー。腕力も機動力も本当は不思議の国で一番強いですからぁ」
「不思議の国で一番?」
外へ出ていったグリフォンの背中を見つめる。知らなかった。グリフォンってスープ作れるだけじゃなくて強いんだ。
「ふふふっ! お姉ちゃんおかおポカーンってしている!」
ビルが横で笑う中、慌てて口を閉じようとしたけど、グリフォンの手元を見て口を塞ぐのも忘れてしまった。
お玉。まさかお玉で戦う気なの?
グリフォンの右手にしっかりと握られているお玉。お玉って武器なんだ。
「では僕もそろそろ向かうとしますか。アリス、先程僕が言った事覚えていますね?」
振り返ると真剣な瞳の白ウサギがいて、思わずコクンと頷いてしまった。
「僕が鏡の存在を知る手がかりになった本は、実は夢で先代や先々代、遥か昔生きた白ウサギに本の在りかを導かれたからなんです」
「ですから、黒ウサギも同じような夢を見て、鏡の在りかを知っているかもしれません」
白ウサギと黒ウサギは、見えない絆で繋がっている。そして、時計が私に見せる先代のアリスさんの想いと記憶のように、白ウサギ達も想いや記憶を見る事があってもおかしくないのかもしれない。
「じゃあ、黒ウサギに会うのは鏡の在りかを知っているか確かめる為かい?」
今まで近くにいなかったチェシャ猫がいつの間にか白ウサギの後ろに立っていた。
「はい。アリス、頼めますか?」
彼の言葉に、全てを託された気がした。
黒ウサギへの想い。世界の未来。そしてそれはとても大きくて、優しい決意。
白ウサギの決意が、私を優しくさせる。心の奥が暖かい。白ウサギが黒ウサギを大切に想う気持ちが、言葉を通して伝わってくる。迷う事なんてない。私だって同じ。
『失せろ。俺に二度と近づくな』
私から逃げていたはずの黒ウサギは、私を助けてくれた。嫌われていると感じたのに、彼は私の無事に微笑んだ。
「やらせて。私、黒ウサギを探す。今度は時計を止める為じゃない。分かり合う為に、彼に会いたい。もう黒ウサギにあんな悲しそうな顔してほしくない」
手を伸ばせば届きそうな程近くにある、白ウサギの首にかけられた金色の懐中時計が目に入り、強くそう思った。
首にかけられた金色の時計は、信頼の証――
「ありがとうございます」
白ウサギは優しく微笑むと私の横を通り過ぎて行った。
「お姉ちゃんまた会おうねー!」
「ビル!」
ビルも白ウサギの後を追って外へと出ていく。
「またスープ飲みに来てくださいねぇ? ふふふ。僕、待っていますよー?」
「可愛い可愛いアリスはあっち! 二人は店の出入口から出てね!」
妙な威圧感を残した海ガメとメアリーも外へ出ていく。
「二人共!」
追いかけようと足を踏み出した瞬間、温もりに手を掴まれた。後ろを向くと、チェシャ猫が微笑んでいる。
「彼等の言葉が信じられないかい? 此所は彼らに任せよう」
「信じているよ! でも!」
波のような真っ黒な塊。外には百を超える魔物が蠢きながらこちらに向かっている。戦い方を知らない私が出ていったところで、足手まといになるだけ。
だけどたった五人で百を超える魔物を相手になんて!
「白ウサギは嘘をつかないよ」
「どけってば。俺達が行かなきゃ誰が此所を守るんだよ」
グリフォンは私を押し退けドアを開き、外へと出ていく。
「心配の必要ないですよー。グリフォンは鷲の翼とライオンの足をもっているんですよー。腕力も機動力も本当は不思議の国で一番強いですからぁ」
「不思議の国で一番?」
外へ出ていったグリフォンの背中を見つめる。知らなかった。グリフォンってスープ作れるだけじゃなくて強いんだ。
「ふふふっ! お姉ちゃんおかおポカーンってしている!」
ビルが横で笑う中、慌てて口を閉じようとしたけど、グリフォンの手元を見て口を塞ぐのも忘れてしまった。
お玉。まさかお玉で戦う気なの?
グリフォンの右手にしっかりと握られているお玉。お玉って武器なんだ。
「では僕もそろそろ向かうとしますか。アリス、先程僕が言った事覚えていますね?」
振り返ると真剣な瞳の白ウサギがいて、思わずコクンと頷いてしまった。
「僕が鏡の存在を知る手がかりになった本は、実は夢で先代や先々代、遥か昔生きた白ウサギに本の在りかを導かれたからなんです」
「ですから、黒ウサギも同じような夢を見て、鏡の在りかを知っているかもしれません」
白ウサギと黒ウサギは、見えない絆で繋がっている。そして、時計が私に見せる先代のアリスさんの想いと記憶のように、白ウサギ達も想いや記憶を見る事があってもおかしくないのかもしれない。
「じゃあ、黒ウサギに会うのは鏡の在りかを知っているか確かめる為かい?」
今まで近くにいなかったチェシャ猫がいつの間にか白ウサギの後ろに立っていた。
「はい。アリス、頼めますか?」
彼の言葉に、全てを託された気がした。
黒ウサギへの想い。世界の未来。そしてそれはとても大きくて、優しい決意。
白ウサギの決意が、私を優しくさせる。心の奥が暖かい。白ウサギが黒ウサギを大切に想う気持ちが、言葉を通して伝わってくる。迷う事なんてない。私だって同じ。
『失せろ。俺に二度と近づくな』
私から逃げていたはずの黒ウサギは、私を助けてくれた。嫌われていると感じたのに、彼は私の無事に微笑んだ。
「やらせて。私、黒ウサギを探す。今度は時計を止める為じゃない。分かり合う為に、彼に会いたい。もう黒ウサギにあんな悲しそうな顔してほしくない」
手を伸ばせば届きそうな程近くにある、白ウサギの首にかけられた金色の懐中時計が目に入り、強くそう思った。
首にかけられた金色の時計は、信頼の証――
「ありがとうございます」
白ウサギは優しく微笑むと私の横を通り過ぎて行った。
「お姉ちゃんまた会おうねー!」
「ビル!」
ビルも白ウサギの後を追って外へと出ていく。
「またスープ飲みに来てくださいねぇ? ふふふ。僕、待っていますよー?」
「可愛い可愛いアリスはあっち! 二人は店の出入口から出てね!」
妙な威圧感を残した海ガメとメアリーも外へ出ていく。
「二人共!」
追いかけようと足を踏み出した瞬間、温もりに手を掴まれた。後ろを向くと、チェシャ猫が微笑んでいる。
「彼等の言葉が信じられないかい? 此所は彼らに任せよう」
「信じているよ! でも!」
波のような真っ黒な塊。外には百を超える魔物が蠢きながらこちらに向かっている。戦い方を知らない私が出ていったところで、足手まといになるだけ。
だけどたった五人で百を超える魔物を相手になんて!
「白ウサギは嘘をつかないよ」