敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった

6 戴冠の夜

 婚姻の儀の後、続けてエルフナルドの王位継承のための戴冠式が行われた。
 
 大広間の中央へ進み出たエルフナルドは、玉座の前で片膝をつき、静かに頭を垂れた。

 アシュリー王が、その前に立つ。
 
「エルフナルド、この国を頼む」
「御意」

 短く言葉を交わし、アシュリー王は王冠を掲げ、エルフナルドの頭上へと戴かせた。
 その瞬間、居並ぶ貴族たちが一斉に頭を垂れる。
 アシュリー王は一歩退き、ユリアへと視線を向けた。

「よくぞ我が国アルジール国へ参った、ユーハイム国の姫よ。エルフナルドは元騎士ゆえ、少々堅いところもあるが……どうか支えてやってくれ」
「と、とんでもございません。私こそ……王妃という立場に恥じぬよう、精進いたします」

 戴冠式が終わる頃には、外はすっかり日が暮れていた。
 夕食のため案内された部屋には、ユリアひとりしかおらず、エルフナルドの姿はなかった。
 不安そうにアリシアを見ると、彼女は少し気まずそうに口を開いた。

「陛下は、執務でお忙しいとのことで……執務室で召し上がるそうです」
「……そうだったの」

 用意された料理を見て、ユリアは目を瞬かせた。

「……あの、とても量が多いのだけど、……皆さんで一緒に召し上がったりは……」
「と、とんでもございません! ご一緒など恐れ多いことでございます。お残しになっても構いません」

 それでもユリアは、残さぬよう必死で食べた。
 しかし、半分ほどで満腹になり、結局手を止めてしまった。
 
「構いませんよ」

 そう言うアリシアに、ユリアは何度も、何度も頭を下げて謝罪した。
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