漆黒の花嫁  ーその手をもう一度

4 前夜

 数日後。
 エルフナルドは、とある屋敷の一室で辺境伯令嬢のジュリアンヌと会っていた。

「お久しぶりでございます、エルフナルド様。なかなかお呼びくださらないので、私とても寂しくしておりましたわ」
「馬鹿なことを言うな。私が相手をせずとも、お前には相手などいくらでもいるだろう」
「それはそうですけれど……私、あなたとの相性が一番いいの。早く抱いてくださいませ」
「……その前に、今日は話がある」
「話は後でいいわ。とにかく早く。もう我慢できないの」

  その声には、駆け引きも遠慮もなかった。
 ただ欲しいものを欲しいと言う、彼女らしい率直さだけがあった。
 逃げ道を塞ぐように距離を詰められ、エルフナルドは視線を外す。
 その沈黙を合図にしたかのように、ジュリアンヌはためらいもなく歩み寄り、唇を重ねた。
 エルフナルドは一瞬だけ目を伏せ、それを拒むことはしなかった。
 そのまま彼女を抱き寄せ、無言でベッドへと導く。
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