漆黒の花嫁  ーその手をもう一度

 ――情事を終えた後、目を覚ましたジュリアンヌが身を起こすと、エルフナルドはすでに身なりを整え、部屋の長椅子に腰掛けていた。

「エルフナルド様、申し訳ありません……そのまま眠ってしまったみたいで」
「構わない。私も少々激しくしすぎた。身体は大丈夫か?」
「ええ……。あんなエルフナルド様、初めてでした。とても良かったですわ」

 満足そうに微笑みながら、ジュリアンヌは裸のまま身体を起こした。

「何か……ございましたか? いつもはお優しいのに、あんなふうに感情的になるなんて」

 エルフナルドはベッドに近付き、自身のガウンをジュリアンヌの肩にかけてから腰を下ろした。

「……ユーハイム国の姫を娶ることになった」

 視線を合わせぬまま、淡々と告げる。

「お前との関係も、これまで通りにはいかないだろう」
「ど、どういうことですか!? エルフナルド様のお相手は、私のはずでしょう? どうして敗戦国の姫など……!!」

 動揺したジュリアンヌは、思わず声を荒げた。

「私が王になるために、必要なことだ」

 その言葉と同時に、先ほどまでの熱が嘘のように、部屋の空気が冷えていくのを感じた。
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