敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「あの……」
ユリアは恐る恐る、顔を上げた。
「行為が、ない……とは……どういう意味でしょうか」
エルフナルドは、初めてユリアの方に視線を向けた。
「そんなことも知らないのか。……世継ぎを作るための行為だ」
まるで説明する価値もないと言わんばかりの口調だった。
「……申し訳ございません」
俯いたユリアに、彼は興味を失ったように視線を逸らした。
「知らぬのなら、そのままでよい。いずれ世継ぎは必要だが……今後、他にも妃を迎えるつもりだ。世継ぎはその妃に産ませる。お前には関係のない話だ」
「……かしこまりました、陛下」
そう答えながら、胸の奥で何かが静かに崩れ落ちた。
拒まれたことよりも、「期待されていない」ことの方が、ずっと重かった。
王妃として、妻として――どこにも居場所がない。
「私は休む。お前は、好きにしろ」
そう言うと、エルフナルドはベッドに横になり、目を閉じた。
ユリアは何が言おうとしたが、すでに彼は眠る意思を固めているようで、言葉を飲み込み、再び長椅子へと戻った。
――陛下は、私のことをよく思っていらっしゃらない。
当たり前よね……ニヶ月前まで、戦争をしていた国同士なのだから。
――私も……お兄様を亡くした。
ユリアは胸が痛んだ。
――世継ぎを作らない、とおっしゃっていたけれど……本当に、それでいいのかしら。
自分にとっては、少し安心できる言葉だった。
けれど、それは同時に――自分がこの国に来た意味を、失うことでもある。
ーーでは一体、私は何をすれば……?
考えても答えは出ず、やがてユリアは、長椅子の上で静かに眠りに落ちていた。
ユリアは恐る恐る、顔を上げた。
「行為が、ない……とは……どういう意味でしょうか」
エルフナルドは、初めてユリアの方に視線を向けた。
「そんなことも知らないのか。……世継ぎを作るための行為だ」
まるで説明する価値もないと言わんばかりの口調だった。
「……申し訳ございません」
俯いたユリアに、彼は興味を失ったように視線を逸らした。
「知らぬのなら、そのままでよい。いずれ世継ぎは必要だが……今後、他にも妃を迎えるつもりだ。世継ぎはその妃に産ませる。お前には関係のない話だ」
「……かしこまりました、陛下」
そう答えながら、胸の奥で何かが静かに崩れ落ちた。
拒まれたことよりも、「期待されていない」ことの方が、ずっと重かった。
王妃として、妻として――どこにも居場所がない。
「私は休む。お前は、好きにしろ」
そう言うと、エルフナルドはベッドに横になり、目を閉じた。
ユリアは何が言おうとしたが、すでに彼は眠る意思を固めているようで、言葉を飲み込み、再び長椅子へと戻った。
――陛下は、私のことをよく思っていらっしゃらない。
当たり前よね……ニヶ月前まで、戦争をしていた国同士なのだから。
――私も……お兄様を亡くした。
ユリアは胸が痛んだ。
――世継ぎを作らない、とおっしゃっていたけれど……本当に、それでいいのかしら。
自分にとっては、少し安心できる言葉だった。
けれど、それは同時に――自分がこの国に来た意味を、失うことでもある。
ーーでは一体、私は何をすれば……?
考えても答えは出ず、やがてユリアは、長椅子の上で静かに眠りに落ちていた。