漆黒の花嫁 ーその手をもう一度
***
戦で負傷した騎士を治療するテントの奥。
ユリアはそっと手を伸ばした。
彼女には、生まれつき人の傷を癒すヒーリングの力があった。
その力を使うため、戦争のたびに戦場へ送り込まれていた。
母は、力を持つ者たちが暮らす秘境の国――ティーン国の姫だった。
かつてその国の人々は、その力を求めたユーハイム国に捕らえられ、奴隷として働かされていた。
ユリアの母もその一人であった。
力には限界があった。
ティーン国の人々は皆、白い髪を持って生まれた。
使うほどに白い髪は黒く変わり、完全に黒く染まる頃には力を失い、命を落とす者も少なくなかった。
戦争のたびにティーン国の人々は減り続け、ついには絶滅寸前にまで追い込まれていた。
その力に頼って兵力を保ってきたユーハイム国も、次第に国力を落としていった。
その現状に王は頭を抱えた。
そんな中、ユリアの母だけは例外だった。
彼女は力を使い続けても、髪色は変わらず、尽きることなく力を使うことができた。
そこに目をつけた王は、彼女を妾として側に置き、その力を利用した。
さらに、力を持つ者の子は同じ力を受け継ぐと知り、自らの子も産ませた。
それがユリアである。
王は、ユリアの母にたくさん子を設けさせ、力を生み出そうと企んでいた。
しかし彼女は、ユリアを出産と同時に命を落とした。
ユリアもまた力を受け継いだものの、無限ではなかった。
そしてそれがわかる頃には、力を持つ者はユリアただ一人となった。
それから王は、力を使うことを出し惜しむようになったが、戦況が悪化すると力に頼らざるを得なかったため、ユリアを戦場へと送った。
その度に、髪は少しずつ黒く染まり、十三歳で参加していた戦争を最後に、ユリアは完全に力を失った。
命は助かったものの、力を失ったユリアに価値はないと判断した王は、ユリアを王宮の片隅に幽閉した。
戦で負傷した騎士を治療するテントの奥。
ユリアはそっと手を伸ばした。
彼女には、生まれつき人の傷を癒すヒーリングの力があった。
その力を使うため、戦争のたびに戦場へ送り込まれていた。
母は、力を持つ者たちが暮らす秘境の国――ティーン国の姫だった。
かつてその国の人々は、その力を求めたユーハイム国に捕らえられ、奴隷として働かされていた。
ユリアの母もその一人であった。
力には限界があった。
ティーン国の人々は皆、白い髪を持って生まれた。
使うほどに白い髪は黒く変わり、完全に黒く染まる頃には力を失い、命を落とす者も少なくなかった。
戦争のたびにティーン国の人々は減り続け、ついには絶滅寸前にまで追い込まれていた。
その力に頼って兵力を保ってきたユーハイム国も、次第に国力を落としていった。
その現状に王は頭を抱えた。
そんな中、ユリアの母だけは例外だった。
彼女は力を使い続けても、髪色は変わらず、尽きることなく力を使うことができた。
そこに目をつけた王は、彼女を妾として側に置き、その力を利用した。
さらに、力を持つ者の子は同じ力を受け継ぐと知り、自らの子も産ませた。
それがユリアである。
王は、ユリアの母にたくさん子を設けさせ、力を生み出そうと企んでいた。
しかし彼女は、ユリアを出産と同時に命を落とした。
ユリアもまた力を受け継いだものの、無限ではなかった。
そしてそれがわかる頃には、力を持つ者はユリアただ一人となった。
それから王は、力を使うことを出し惜しむようになったが、戦況が悪化すると力に頼らざるを得なかったため、ユリアを戦場へと送った。
その度に、髪は少しずつ黒く染まり、十三歳で参加していた戦争を最後に、ユリアは完全に力を失った。
命は助かったものの、力を失ったユリアに価値はないと判断した王は、ユリアを王宮の片隅に幽閉した。