漆黒の花嫁  ーその手をもう一度
 ヘレンは戦場で、幾度となくティーン国の人々のヒーリングの力に助けられてきた。
 そして同時に、力を失い命を落とす場面も数多く目にしてきた。
 そのため、唯一生き残ったユリアの力を使うことに躊躇していた。
 反発する者も多かったが、ヘレンが団長になったことで、その数は次第に減った。
 しかしヘレンが不在の際、兵士たちは皆ユリアの力に頼り、周りに群がった。
 ユリアが力を失ったとき、人々は絶望し、彼女を非難した。
 幽閉される頃には、誰も彼女に近づくことはなかった。
 ヘレンは、何度も王に懇願し、ユリアを外に出そうとしたが許されなかった。
 戦争から戻るたび、彼は幽閉されたユリアの部屋を訪れ、「出してやれず、すまない…」と、謝った。

 
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