結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「なるほど」
 アーヴィンはにこりともせず頷いたが、すぐに相好を崩して私と向き合う。
「ところで、イレーヌの愛する人は誰かな?」
 私は鉄仮面のような表情で答える。
「本来であれば、シオドアと答えたいところですが……」
 チラリとシオドアに視線を向けるが、彼はまだリンダと密着している。やはり私はお邪魔らしい。そろそろ会場に戻ろう。シオドアに何かを期待するだけ無駄である。
「今のところ、愛人は募集中です。せっかく人が多く集まっておりますので、そちらで探そうかと」
 自分の結婚披露パーティーで愛人を探す。おかしくも虚しい。
「……だったら、俺なんかどうだ?」
 噴水の水がひときわ高く噴き出し、弾けた水滴が光をまといながら、きらきらと落ちていく。
「何が?」
「だから、愛人。募集中なのだろう?」
 月明かりを浴びてやわらかく微笑むアーヴィンの言葉に、私はコクリと喉を鳴らした。
< 10 / 40 >

この作品をシェア

pagetop