結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「懐かしいわね」
 両親もこの学園の卒業生だ。
「イレーヌ、こっちよ」
 まるで勝手知ったる我が家のように、母が入学式の会場となる講堂へと私を連れていく。
 同じ制服に身をつつむ新入生たちが、両親に連れられ向かっている先が会場なのだろう。
 どこか誇らしげで、どこか不安そうな表情は、私も同じなのかもしれない。
「ロイル侯爵」
 誰かが父を呼び、私たちは歩を止めた。父がゆっくり振り返る。
「ポーレット公爵……」
 先ほど馬車の中で父の口から出た名だ。
「そちらが、君のご自慢の娘かな?」
「はい。イレーヌ、挨拶を」
 父に促され、私はスカートの裾をつまんで頭を下げた。
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