結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「イレーヌ・ロイルと申します」
「まぁ、ご聡明なお嬢様ね」
 感心したように声をあげたのは、気品漂う公爵夫人。
「恐れ入ります」
 父は恐縮そうにつくり笑いを浮かべているが、早くこの場から離れたいという気持ちはひしひしと伝わってきた。
「……魔女みたいな女だな」
 ぼそりとした声が聞こえ、私ははっとするが、それは私の両親も同じだったようで、引きつった笑みを浮かべている。
「こら、シオドア」
 ポーレット公爵は本気で怒っているわけでもなさそうだ。たしなめた相手は金色の髪の男の子で、公爵によく似ている。
「男の子はいつまでたっても子どもで困るわね」
 公爵夫人も「ごめんなさいね」と、静かに笑っていた。
 初対面の人間に向かって失礼な言葉を吐き出した彼が、ポーレット公爵子息のシオドアだと知った。つまり、将来のポーレット公爵である。
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