結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 私は「いえ」と返事をしてみたけれど、十歳児のイーグルだって、初対面の女性に向かってそんな言葉はかけない。どうやらシオドアは、十歳児より精神年齢は低いらしい。
 私たちはそそくさとその場を離れようとしたのに、ポーレット公爵が父に次から次へと話題を振るため、結局、公爵一家と一緒に会場へと向かう羽目になってしまったのだ。
 幸いなことに会場の席は決められており、やっとここでポーレット公爵一家から解放された。
 席に着いたとたん、ほっと息を吐いた父を見れば、私よりも気を張っていたにちがいない。
 まだ開会まで時間があるため、会場の受付で手渡された入学式要項に目を通し始めると、両隣から両親が身を乗り出してきた。間に挟まれている私は窮屈であるけれど、嫌な気持ちではない。
「新入生代表挨拶は、王弟殿下なのね」
 母の言葉に、父はうんうんと頷く。
「学園の方針は、平等だからね。王弟殿下だから選ばれたわけでなく、入学試験でトップの成績を取ったからだろう」
「その理屈でいけば……例えば、平民であっても試験の結果がよければ、代表挨拶をするということですか?」
 私が尋ねれば、「そうだよ」と父は答える。
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