結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「ほら、さっさとテストの見直しの続きをするわよ」
 これ以上、アーヴィンの無駄話に付き合っていると、彼という存在を意識してしまいそうで怖かった。私は表情を引き締めて、問題の解説を続ける。
「ここに線を引けば、ここの角度が求められるでしょ? そしてこことここを……」
「なるほど。解けた。そうか……最初の分割が肝なのか……」
 解き方を覚えたアーヴィンは、忘れないうちにともう一度同じ問題を最初から解き直す。覚えが早いから、次は流れるように問題を解いていた。
「よし。これで次は君に勝てそうだ。いいのか? 敵に塩を送って」
「なんだって古い言葉を知っているのね」
「この言葉の意味を知っている君もなかなかだと思うけどね」
 ふっと口元をほころばすアーヴィンを見たら、宝石のような紫眼がやさしく注がれる。なんともくすぐったい雰囲気に、どうしたらいいのか悩んでいたら、そこで空気がピリッと張り詰めた。
「早速、魔女は王弟殿下を手玉に取ったのか」
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