結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「そういえば、図書室に行くんだろ?」
 アーヴィンはそう言いつつ、机に広げた問題用紙などを片づける。
「ええ。ちょっと読みたい本があったから、購入依頼したの。それが届いたって連絡があったから」
 図書室では、読みたい本をリクエストすれば購入検討をしてくれる。
「へぇ? 君がそこまでして読みたい本というのは、気になるな」
 ニヤリと笑ったアーヴィンは、そのまま図書室にまで連いてきたのだ。図書室はこの学園の関係者であれば、誰でも利用できる場所だから「連いてくるな」とも言えないし、だからって拒むつもりもなかった。そう考えてしまうのは、私の気持ちが自分自身、よくわからないからだ。
 図書室の中では静謐な時間が流れていた。閲覧席にちらほらと人はいるが、日ごろから利用している人は少ないのだろうという印象を受ける。
 私が受け付けで生徒手帳を見せると、司書もすぐに裏から本を取り出した。
「こちらでよろしいでしょうか?」
「はい。ありがとうございます」
 貸し出し手続きをしてしまえば、これから十日間は、この本を自由に読める。
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