結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「『絵画で学ぶ王国の歴史』……?」
 本のタイトルを見たアーヴィンは、驚いたように目を見開く。
「えぇ。絵画ってその時代の世情が反映されているでしょう? 内乱が起こった年であれば、怒りとか空しさを感じさせるような寂しい色調のものだったり。それは感情だけでなく、使われる顔料にも制限があったからだとは聞いているけれど。だけど、内戦が終わるにつれ、明るさを取り戻すというか……。また、色調が変わってくる感じがするの」
 読みたかった本なだけに、少し熱く語りすぎてしまっただろうか。
 だけどアーヴィンは「なるほど……」と、小さく頷く。
「その本、読み終わったら、次は俺に貸してくれないか?」
「学園の本だもの。好きに読んだらいいと思うわ」
 私の本ではないのだから、いちいち許可を取る必要はない。それでも次にアーヴィンが借りられるように、読み終わったら声をかけようと、心に決める。
 アーヴィンがふっと笑えば、私の胸がドキリと跳ねた。だけどそれを誤魔化すかのように「そろそろ迎えがくるから」と時間を確認したところで、借りた本は鞄の中にしまった。
「また明日」
 私が軽く手を振れば、アーヴィンも「また明日、気をつけて帰れよ」と手をあげた。
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