結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 ただ、シオドアとクラスが離れたから、彼との関わりはないだろうと思っていたけれど、その考えは甘かった。
 二年になったときには、私とアーヴィンはすでに生徒会役員だったけれど、Dクラスのシオドアがクラス委員になったのだ。となれば、委員会などでは顔を合わせる必要があるわけで。
 彼は露骨な嫌がらせをしてはこないものの、私とすれ違うときだけ顔をしかめたり「魔女」と言ったりと、幼稚な言動を繰り返す。もちろんそれに対して私は言い返すわけでもなく、とことん無視を決め込んでいた。
 わりと私の近くにいるアーヴィンは、シオドアのそんな行為に気がついていて抗議しようとしてくれたけれど、私がそれを止めた。何かしら反応を示すから、シオドアも調子に乗るのだ。いや、相手にするだけ時間の無駄という気持ちもあった。
 そうやってシオドアを適当にあしらいつつ、新しいクラスにも馴染んだとき。
「イレーヌ。国立美術館で、テロス展が開かれるんだが……」
 放課後の生徒会室で、各委員会からの支出報告書をまとめていたときに、アーヴィンが美術館の広告を差し出してきた。
「え? テロス展?」
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