結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「不公平? だが、これは学園の行事ではないからね。平等である必要はない。そもそも人間というのは不平等の上に成り立っていて、その不平等さをどう平等に近づけていくかが、俺の課題でもある」
 世の中に完全な平等は存在しない。もし、すべてが平等であれば、同じような顔の同じような能力の人間しか存在しないだろう、というのがアーヴィンの持論である。
「それに特別枠というのは、美術館からの好意なんだ。となれば、それをありがたく受けるのも俺たちの役目だろう?」
「美術館だって、アーヴィンだから特別枠を用意したわけでしょう? つまり、王族の特権のようなもの。私には縁のない話だわ」
 アーヴィンの誘いは素直に嬉しいし、非常に心惹かれる話でもある。それでも私は王族ではないという気持ちのほうが強かった。
「う~ん、困ったな。特別枠のチケットはペアなんだよ。兄は夫婦で行くし、十五歳以下にはチケットは不要だからね」
 つまりセリウス王子は国王夫妻と一緒に行くはずだと、アーヴィンは言いたいようだ。
「ペアチケットを用意してもらったのに、俺が一人で参加したとなれば恥ずかしいじゃないか」
「堂々としていればいいわ。絵画は一人でも楽しめるものだし」
「だけど俺は、君と楽しみたいと思っている。俺の顔を立てるとでも思って、引き受けてくれないか?」
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