結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。

4.

 国立美術館でテロス展が開催される。
 それが公表されれば、絵画ファンはこぞってチケットを求め始めた。
 けれども、興味のない人間はどこにでもいるもので、シオドアなんかは典型的な興味ない人間の一人だろう。
 だというのに、私とアーヴィンが共にテロス展に足を運んだという情報をどこからか仕入れてきて「王弟妃でも狙ってるのか?」と、他に人がいなくなった隙をみては声をかけてくる。
「もしかして、あなたもテロス展に誘ってほしかったのかしら?」
「ふん、誰が」
「そうよね、絵画には興味がないと、美術の時間に騒いでいましたものね」
 これ以上、話すことはないと態度で示して教室を出ていこうとすれば「おい、待てよ」と腕を掴まれた。
「何か?」
「調子に乗るなよ、この魔女が」
「調子に乗っているのはおまえのほうだろう? シオドア」
 空気を震わせるような怒気の含まれる低い声は、アーヴィンだ。
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