結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
閑話:アーヴィン
 アーヴィンはエラルズ王国の第二王子として生を受けた。兄ヴェリオンとは十八歳年が離れているため、妾腹の子と思われがちだが、父母を同一にする兄弟である。
 当時の王子ヴェリオンは生まれたときから病弱で、よく熱を出しては寝込んでいたそうだ。両親は、周囲から早く第二子をと望まれたようだが、望んだからといってすぐに授かるものでもない。
 となれば側妃をという話もあがったらしいが、それを父王は頑なに拒んでいたらしい。
 そうこうしてヴェリオンが生まれて十八年後に誕生したのがアーヴィンだった。すでに兄王子は立太子の儀を済ませ、王太子として政務にたずさわっていたが、アーヴィンの誕生は喜ばれた。
 ――これで予備ができた。
 そんな思惑をひしひしと感じるようになったのはいつからだろう。しかしそれは両親が向けてくる視線ではなく、父王たちの周りにいる、腹の底では何を考えているかわからないような奴らから。
 彼らはアーヴィンをヴェリオンの予備として見ているのはわかっていた。
 しかしヴェリオンが結婚し子に恵まれると、アーヴィンに予備としての価値もなくなったのか、そんな話すら聞こえなくなり、さらにはまとわりついていたうるさい人間もいつの間にかいなくなっていた。
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