結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 それでもアーヴィンは友人だと言い張った。そう自分に言い聞かせなければ、これ以上の関係をイレーヌに望んでしまうと思ったからだ。
 しかし、それが裏目に出た。
 セリウスがイレーヌを気に入ってしまい、彼女と手を繋ぎ「この絵は?」「こっちはどうして?」と次から次へと質問攻めにしていた。好奇心旺盛なセリウスの猛攻にアーヴィンですら嫌気のさすときがあるというのに、イレーヌは一つ一つ丁寧に答えていた。
 もちろんセリウスはご満悦で、イレーヌの手を離そうとはしない。
 帰り際、イレーヌに「セリウスがすまなかった」と謝罪すれば、「別な着眼点から絵画を楽しむことができました」とにこやかに答えていた。
 次は二人きりで――。
 そう誘いたかったアーヴィンだが、その言葉が口から出ることはなかった。
 それでもイレーヌとの関係はぐっと近づき、アーヴィンにとって彼女が特別だと意識したのは、最後の文化祭も終わり、生徒会役員を引退したときかもしれない。
 イレーヌと繋がっていた生徒会の活動がなくなったことで、一気に喪失感を覚えたのだ。
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