結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 そしてふつふつと湧き起こる表現しがたい感情。
 イレーヌともっと話をしたい。
 イレーヌともっと一緒にいたい。
 イレーヌをもっと知りたい。
 イレーヌと――。
 何をするにも彼女の影が脳裏にちらつき落ち着かない。
 この感情に名前をつけるとしたら何になるのか、アーヴィンにはわからなかった。
 それでも卒業パーティーでは一緒に踊ってほしいと、誘うつもりでいた。そのとき、この気持ちを正直に告げたら、聡明な彼女は答えをくれるだろうか。
 しかし卒業式まであと一か月を切ったある日、アーヴィンは国王から呼び出された。
「てっきり君は、イレーヌ嬢に好意を持っていると思っていたのだが……」
 その言葉は否定できない。好意がなければ一年前だって、テロス展には誘わなかっただろうし、それ以外でも彼女のそばに居続けようともしなかった。
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