御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
宏斗は東京都の強化選手で、ふたりは全国大会で競い合った仲である。

ライバルで親友だと兄がよく言っていて、遠いのに年に二回ほど宏斗が兄に会いに来ていた。

その際に渚も一緒に遊んでもらった記憶がある。

兄の友人なのでてっきり自分たちと同じ庶民だと思っていたのだが、違うのだろうか。

黒大理石の玄関で安物のスニーカーを脱ぎながら、チラチラと宏斗の方を見てしまう。

「セキュリティの高いマンションだから安心していいよ」

渚の落ち着かない様子を見て、まだ怖がっていると勘違いしたようだ。

(小学生の頃、お兄ちゃんが私を連れていかないと言っても、三人で海に行こうと言ってくれたよね。優しいところは私の知ってる宏斗さんのままだけど……)

複数枚の扉が並んだ廊下を進み、リビングに通された。

ひとり暮らしと言っていたが大家族が暮らせそうなほどに広く、窓の外には大都会の夜景が宝石のように輝いている。

ダークブラウンと白と藍色を基調としたインテリアはモダンで、落ち着いた大人の雰囲気が漂っていた。

部屋の左寄りに十人で囲めそうな応接セットがあり、勧められた三人掛けのソファの

端に腰かけた。

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