御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
驚いたように目を見開いた彼だが、すぐに鋭い視線を周囲に巡らせると渚の肩を抱いた。

隠してくれているのだとわかったが、突然の接触に心臓が波打つ。

「近くに俺の家がある。事情はそこで聞く」

「で、でも、こんな時間にご迷惑では……」

「ひとり暮らしだから気にしなくていい。行こう。緊急事態なんだろ?」

「はい。すみません。お邪魔します」

一刻も早く安全な場所に身を隠したくて頷いた。

宏斗に連れられて一分ほど歩き、足を踏み入れたのはセレブな雰囲気の漂うタワーマンションで驚いた。

エントランスには警備員が立っていて、この時間は不在のようだがロビーにはコンシェルジュのカウンターがある。

豪華すぎるマンションに戸惑いながらエレベーターに乗せられ、着いたのは最上階だ。

マンション内なのに玄関前に門があり、電子錠を解錠して玄関ドアの内側に通されても渚はまだ驚きの中にいる。

(宏斗さんって、一体……)

結婚を機に東京に出てきたが、渚が生まれ育ったのは静岡だ。

兄は幼い頃から競泳を習っていて、県の代表に選ばれるほど期待された選手だった。

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