御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
ドアが開いて顔を見せたのは、赤ちゃんを抱いた三十歳くらいの女性である。

「吉見クリーンサポートの水沢です」

「お待ちしてました」

「ご依頼、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします」

渚は都内にある家事代行業者『吉見クリーンサポート』でアルバイトをしている。

宏斗は優しくて頼もしいが、服や化粧品など自分しか使わないものは自分の稼ぎで買いたいと思っている。

学歴も特技も資格もない自分でも外で働けるというのが自己肯定感に繋がるし、誰かの役に立てるのが嬉しくもあった。

働きたいと宏斗に申し出た時にその理由も話すと、応援すると言ってくれた。

渚の気持ちまで大切にしてくれる彼に深く感謝している。

依頼者の女性に自宅に入れてもらう。

「子供がいると掃除をする暇もなくて。水回りをお願いします」

「承知いたしました。赤ちゃん、可愛いですね。何か月ですか?」

「六か月です。抱っこしてないと泣くから、腕がパンパンで」

ふくふくとした可愛い女の子の赤ちゃんが母親の腕の中でニコニコしている。

温かい気持ちになり、いつか自分も母親になりたいと宏斗との赤ちゃんを想像した。

< 101 / 222 >

この作品をシェア

pagetop