御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「マンション前で誰かに声をかけられたり、あとをつけられたりしてないか?」

彼の眉間には微かに皺が寄っている。

繁史の件はひと月以上前に解決済みなのに、まだ心配しているのだろうか。

インターホンが鳴っても対応しないようにも言われていて、宅配の荷物はコンシェルジュを通して受け取っている。

彼がインターホンの履歴をチェックする様子もよく見かけた。

「大丈夫ですよ。このマンションの住人の方と挨拶するくらいです。外出時もおかしいと感じることはありません」

「そうか、安心した。仕事はどう? 楽しい?」

「はい。そうだ、宏斗さんにお願いしたいことがあるんです」

来週の土曜日に渚を指名して掃除の依頼が入っていることを話した。

「宏斗さんのお休みなのに申し訳ないんですけど、その日だけ仕事に行ってもいいですか?」

宏斗が真顔で一拍黙った。

「そのオファーはどんな客?」

「私が前に掃除をしたお客様のお知り合いの方です」

「普通の人?」

「はい」と答えてみたものの、どう意味で普通と聞かれたのかわかっていない。

(お客様が暴力的な人だったらと心配してるのかな)

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