御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
叔父は亡き父の弟で、地元で仕出し弁当屋や飲食店を複数経営している。

渚の両親が交通事故で帰らぬ人となったのは渚が八歳の時だった。

当時、兄は十六歳の高校生で兄妹で叔父一家に引き取られたのだが、それまでの生活とは一変してしまった。

兄は放課後、叔父の店で働くように言われて競泳を辞めることになり、まだ小学生だった渚も家事の大半を任されて友達と遊ぶ時間はなくなった。

厳しい叔父一家よりも近所の人や学校の先生の方が、両親を亡くした兄妹に優しくしてくれたように思う。

兄は高校を卒業したあとは進学せず、地元の役所で公務員として働いた。

それからは叔父の家を出てふたりで暮らせるようになり、家計に余裕はなかったけれど心は穏やかだった。兄が病に倒れるまでは。

「元夫は叔父の仕事関係の知り合いの息子さんなんです。お見合いした時はいい人だと思ったんですけど……」

仕事は電子回路の設計で渚は知らなかったが割と大きな会社らしい。

五歳年上で頼りがいがありそうに見えたが、結婚してみると渚を言葉や暴力で支配しようとする性格なのがわかった。

< 12 / 222 >

この作品をシェア

pagetop