御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
動揺しながらも掃除はしっかり終わらせた。

宏斗の実家を出て事務所まで戻ってきたが、まだ心は揺れている。

「ただ今、戻りました」

掃除用具を片づけてから社長デスクへ報告に行く。

いつもなら『どうだった?』と笑顔で聞かれるが、渚を見るなり吉見社長の眉根が寄った。

「どうしたの? なにかあった?」

表情に出てしまうほどの強い不安に襲われていた。

「あっ、いえ……」

(結婚できないかも。それどころか私と交際していたら、宏斗さんの夢は叶わない……?)

渚が困っている時、これまで何度も彼は『大丈夫だよ』と励ましてくれた。

彼を悩ませていたのが申し訳なく、結婚に関してまた同じように言われたら別れた方がいいのかと少しだけ思い始めていた。

(こんなに好きなのに、別れたくない)

胸が張り裂けそうでなにも答えられずにいると、席を立った社長が渚の背に手を添えて別室へと連れて行ってくれた。

そこは小さな応接室で、ソファに座らされて隣に社長も腰を下ろした。

「会社としてあなたを守るから安心して。なにがあったのか教えてくれる?」

< 124 / 222 >

この作品をシェア

pagetop