御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
依頼者宅で客とトラブルがあったのではないかと思わせてしまったようだ。

きちんと説明しなければと胸に手を当て深呼吸する。

「違うんです。お掃除に関してご不満はないと思います。問題なのは、プライベートのことで――」

依頼者が交際相手の母親で、別れるように言われたことを打ち明けた。

「そうだったの。水沢さんは勤め始めたばかりだったのに、指名が入ったから少しおかしいとは思っていたのよ。断らずにごめんなさいね」

「いえ、社長はなにも悪くないです。私の方こそ、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

「今後、あなたに担当してもらう仕事は、新規じゃなく常連の信頼できるお客様だけにするわ。それで許してくれないかしら?」

「お気遣いありがとうございます」

前に働いていたレバロに続き、ここでも迷惑をかけているのを情けなく思った。

「恋人の件は会社ではなにもしてあげられないけど、ふたりで話し合った方がいいんじゃない?」

「はい……」

仕事を終えて帰路につく。

吊革に掴まって電車に揺られながら、宏斗の顔を思い浮かべていた。

(今日のこと、相談しないと。でも、すごく言いにくい)

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