御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
宏斗と別れなければならないのかと不安が渦を巻いていた。

「手を繋げば怖くない」

優しい目をする彼が指を絡めて渚の手を握った。

嬉しいのに心から喜べず、無理して口角を上げると余計に怖がっているように見えてしまったようだ。

「まだダメ? それじゃ――」

ソファの背もたれと渚の間に無理やり入ってきた彼に背中を抱きしめられた。

「丸ごと包めばどう?」

「怖くないです……」

本当は怖い。彼との未来が消えてしまいそうなのが。

(こんなに優しくしてもらっているのに、怖いだなんて言いにくい。宏斗さん、映画に集中したいよね? 相談は終わってからにしよう)

体に回される腕はたくましく背中に温もりを感じても、鼓動がずっと不安の音を奏でていた。

なかなか相談できないまま時間が過ぎて夜になる。

時刻は二十三時。ベッドに入る時間になってしまった。

宏斗の寝室は十二畳ほどで、壁の一面がクローゼットになっている。ライティングデスクとオーディオ、大きなベッドがあるスッキリとした印象の部屋だ。

交際を始めて少し経った頃、寝室を同じにしたいと言われて今は毎日このベッドを使っている。

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