御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「話していなかったが、俺には兄がひとりいる。父の前妻の子だ。就職活動をする時期になって、父から自分で選んだ会社に入れと言われた。ISSIKIでなくてもいいということだ。後継者はすでにいると言われた気がして悔しかった。兄に負けたくなくてISSIKIに入ったようなものだ」

「お兄さんがいなければ、別の会社に入っていたんですか?」

「どうだろう。それはわからないが、今の俺はISSIKIが好きだ。自社の車を誇りに思っている。父の後を継ぎ、世界一の自動車メーカーにするのが俺の夢だ」

(社長になりたいと思っているんだ……)

渚の目が不安に揺れだした。

彼の夢は母親が言った通りだった。

渚を妻にしてもその夢が叶うと信じているのかもしれないが、父親が最初から兄に後を継がせたいと思っていたなら大きな成果を上げないと逆転できないのではないのだろうか。

(私に宏斗さんの会社の内部事情はわからないけど、お母様が言ったことに不自然はない気がする……)

イギリスの自動車メーカーの令嬢との縁談がまとまれば、彼の母親が言ったように後継争いで優位に立てるのかもしれない。

< 131 / 222 >

この作品をシェア

pagetop