御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
夫婦関係の異常さに気づかせてくれて、離婚できるように区の相談窓口に繋げてくれた幼馴染には心の底から感謝している。

そのおかげで地獄から抜け出せて平穏に暮らしていたというのに、自宅を突き止められて恐怖の中に戻されてしまった。

母親の介護をさせる気で復縁を求められた話をすると、宏斗の眉間に深い皺が刻まれた。

「その男、許せないな。弁護士と相談して俺が話をつける。だが最優先事項は渚ちゃんの安全確保だ。しばらくは俺の家で生活した方がいい」

(えっ!?)

渚は目を見開いたが、宏斗はいたって真剣で冗談を言っている雰囲気はない。

「二部屋、使っていない部屋があるから好きな方を――」

「ま、待ってください。お兄ちゃんの友達というだけなのに、そこまでしてもらうわけにいきません」

宏斗がほんの少し寂しげな顔をした。

「他に行く当てがあるなら無理にとは言わないが」

「それは――」

恐怖から解放されたばかりで、この先どうしたらいいのかはまだ考えていなかった。

(由奈に連絡したら泊めてくれそうな気はするけど……)

離婚で力になってくれた同じ年の幼馴染で、東京で会社員をしている。

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