御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
おにぎりは食べられなくてラップに包んでもらい、持ち帰ることにした。

由奈の食事が終わるのを待って店を出て、「また会おうね」と笑顔で手を振り別れた。

駅に向かう足取りは病院を出た時より軽い。

宏斗にすべてを打ち明けると決めたからか、つわりのつらさが少し和らいだ気がした。

電車に乗り自宅に着いたのは十四時前だった。

玄関に宏斗の革靴があって不思議に思っていると、寝室から彼が出てきて驚いた。

「病院に行った? 今の体調は?」

矢継ぎ早に問いかけられ、まさか渚が心配で仕事を抜けてきたのかと目を丸くした。

けれども寝室内のクローゼットは開いていて、スーツケースに衣類や日用品を詰めている途中なのが見えたので違うとわかった。

「病気じゃなかったです。体調も大丈夫ですよ」

妊娠を含めて話したいことがたくさんある。

なにから話そうかと迷っていると、「よかった」とホッとした様子の彼がすぐに荷造りに戻ってしまった。

「急な出張でイギリスに行くことになったんだ。大きな取引になりそうで、一週間ほどの滞在予定だ。渚の体調がよくない時にすまない」

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