御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「わかりました。私のことは大丈夫ですので」

(忙しそう。簡単な話じゃないし、帰国してからの方がいいみたい)

慣れた様子で手早く荷造りを終えた宏斗が、スーツケースと黒革のビジネスバッグを両手に廊下に出てきた。

すぐに出発するようで、玄関で彼を見送る。

「数日は仕事を休んだ方がいいよ」

(あっ、そうだ。シフト調整を社長にお願いしないと。つわりってどのくらいで治まるんだろう。しばらくは軽めしてもらえるように電話しよう)

職場に迷惑をかけてしまうと思って眉尻を下げると、宏斗に抱き寄せられた。

「俺も寂しいよ。ひとりにしてごめん」

「私は家にいるだけですので平気です。外国でお仕事される宏斗さんは大変だと思います。頑張ってください」

「ありがとう。行ってくる」

軽いキスをくれた彼が荷物を持って玄関を出ていった。

ひとりだと家の中がとても静かに感じる。

まずはリビングのソファに横になり、体を休めた。

一週間ほどいないと思うとやはり寂しい。

(出張先はイギリスって言ってたよね? 大きな取引って……)

彼の母親から聞いた話もイギリスだ。

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