御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
必ず君を取り戻す
十四時間近いフライトを終え、宏斗は一週間ぶりに日本の地に降り立った。

羽田空港の国際線ターミナルの通路を、スーツケースを引きながらタクシー乗り場へと進む。

腕時計を見ると時刻は十八時十五分だ。

携帯電話を出して渚にかけたが繋がらない。

到着時に送ったメッセージも既読になっていなかった。

(携帯電話が不調だと言っていたな。そのせいか? 帰れば会えるからいいか。もうすぐだ)

疲れているが、渚を想うと自然と口角が上がった。

今回の出張の目的は、イギリスの自動車メーカーの経営陣との戦略的な商談である。

相手メーカーは経営不振の打開策として、当社はEV車の開発力と販路の拡大を狙っての合併を模索していた。

結果から言うと、相手メーカーのCEOから『最も頼りになる企業だと判断しています』という言葉をもらえたので手応えを感じている。

今、三企業と交渉中のようだが、最終的には当社を選んでもらえるという自信があった。

(いい出張だったな。例の件を抜きにすれば)

商談後、再来月にまた会う話をして握手を交わしたあと、向こうのCEOから娘とふたりで食事の機会を設けた方がいいかと聞かれて戸惑った。

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