御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
断りなくテレビを消し、その前に立ってテーブル越しに母を見据えた。

「写真しか見ていないけど青い目がきれいなお嬢さんだったのに。宏斗の好みじゃなかった?」

「ふざけるなよ。もし向こうが乗り気だったらどうなっていたことか。社員たちのこれまでの努力を無駄にする気だったのか?」

睨んでも母は少しも動じずにグラスを傾けている。

「あちらのお嬢さんが乗り気だったら素晴らしいことになるじゃない。おつき合いして結婚しなさい。でも残念な結果だったのね。日本人男性は好みじゃなかったのかしら」

「ふざけるなと言ってるんだ!」

声を大きくすると母が小さく肩をすくめ、ようやくグラスを置いた。

「その文句を言いに帰ってきたわけね?」

「本題はここからだ。渚が出ていった。あんたが別れるように脅したんだろ? すべてわかっているぞ」

もう母とも呼びたくない。

怒りをあらわにして問い詰めているというのに、母はなおも薄く笑った。

「そう、別れたの。根性のない子ね」

「違う。泣く泣く身を引いたんだよ。今ある自分の幸せを捨て、俺の夢を守ろうとしてくれたんだ」

どれだけ悩んで苦しんだことか。

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