御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
それを与えた元凶に批判されて怒りのボルテージが上がった。

「夢を守ってもらえたんだからよかったじゃない。あの子と結婚してもなんのメリットもないのは、宏斗もわかるでしょ?」

「バカを言うな。俺には渚が必要なんだ。夢を叶えるためにもそばにいてほしい。すでに支えられているんだよ」

渚のいない日々を想像しただけで、ため息をつきたくなる。

覇気のなさが仕事にも影響するかもしれない。

逆に言えば、渚がいてくれたら百二十パーセントの力で闘えるということだ。

「いつからそんな甘えたことをいう人間になったの? あの子の悪影響かしら」

理解できないと言いたげに母が首を振った。

「自分しか愛せないあんたにはわからないか」

両親のなれそめは聞いていないが、母の方から玉の輿を狙って父に近づいたのが想像できる。

夫も子供も自分を輝かせるための道具としか見ていないのは、子供の頃から感じていた。

怒りが突き抜けると、心が冷えて冷静になった。

親子の情など一切ない目に母を映して告げる。

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