御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「渚を捜して誤解を解く。結婚を認めてくれなくていい。そんなもの関係なく結婚するまでだ。二度と渚に近づくな。それを破れば敵とみなして全力で排除する」

母親が息をのんでいた。

ここまで冷たい目をする息子を初めて見たからかもしれない。

ドアへ向かうと、うしろで母が立ち上がった。

「待ちなさい」

話しは済んだので足を止めない。

見送りという言葉を知らなそうな母が玄関までついてきて、一方的にまくしたてる。

「別れるように言ったのは私だけど、あの子が宏斗の力を信じ切れなかったのが原因でしょ? 捜すのはやめなさい」

(渚に責任転嫁か。そういうあんたが一番、俺を信じていないんだが)

仕事に有益な嫁でないと息子がトップに上り詰められないと考えているのは母の方だ。

「あの子が求めているのは普通の平穏な幸せなんじゃないの? 宏斗と結婚すれば背伸びしなければならなくて苦労させるわよ」

(なに……?)

ドアノブにかけていた手を止めそうになる。

「愛情だけで女は幸せになれないわ。愛してるのなら解放してあげなさい」

今後、母の指示はなにひとつ聞きたくない。

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