御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
電源を入れて中を確かめると、初期化していったようで彼女に繋がるデータはなにひとつ残されていなかった。

溜息をついた時、携帯画面にショートメールの受信通知が現れた。

電源を切っていた時に送られたメールを今、サーバーから受信したのだと思われる。

それを開いて、宏斗は目を見開いた。

【妊婦検診キャンセルのご確認】と書かれていて、エマレディースクリニックという産婦人科の病院からの連絡だった。

(妊娠しているのか!?)

目が覚めるような衝撃を受けたあとは、なにを迷っているのだと自分を叱咤した。

出張に行く日の朝、渚は少し熱が高かった。あれは妊娠の影響だったのか。

これはただの別れではない。ひとりで出産して育てる覚悟もして彼女は宏斗のもとを去ったのだ。

その優しさと強さが悲しい。

(どれだけ悩んだんだろう。結論を出した今もきっと不安の中にいるはずだ。渚を見つけて説得する)

もし後継争いで兄に負けたとしても、それは渚のせいではない。宏斗の力が足りなかっただけだ。

むしろ全力で闘うためには渚が必要なのだと言わなければならない。

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