御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
その気持ちは誰にも話していない。八歳も年下でなんの取り柄もない自分が相手にされるとは思わなかったし、兄と宏斗の友情の邪魔をしたくなかった。

宏斗の大きな手が渚の手を包むように握った。

鼓動が高まり、頬が熱くなる。

結婚が決まった時に胸の奥に封印したはずの憧れの気持ちが、じわじわと漏れ出てくる。

「そう思ってくれるなら、今回は頼ってくれないか。君の窮状に気づけなかったのは航(わたる)に申し訳ないが、その贖罪だけではない。俺が渚ちゃんを守りたいんだ。頼むからここで生活してくれ」

航は兄の名だ。

(宏斗さん自身の願い? それなら、お世話になってもいいのかな。勘違いはしないようにするから……)

「すみません、よろしくお願いします。本当はどうしていいのかわからなかったので、今すごくホッとしています」

申し訳ないと思いながらお願いすると、宏斗の方が安堵したように息をついた。

「いつまででもいてくれていいから。渚ちゃんの元夫、名前は岩淵だったよな。君に手出しはさせない。絶対に守ると約束するよ」

二十六歳のいい大人だけど、たったひとりの家族だった兄を亡くして心細かった。

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